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アメリカでのソロリサイタルと留学で得たもの

4月7日 ソロリサイタル

コンチェルトの本番から2日後。コンチェルトの次の日はソナタクラスでラフマニノフのチェロソナタを演奏した後、オケの指揮の先生からプレゼントだよ!とリサイタルホールを自由に使っても良いと鍵をもらっていたので、ゆっくりホール練習をする…筈が、やはりその日のホールの予定まで確認したわけでは無かったらしく、その日は元々他の予約も入っていたようで、1時間程の練習となってしまいました。それでもリハーサルも兼ねて、ホールの響きを聴くことが出来て、イメージを膨らませる事ができて良かったです。 留学中は毎日朝9時から練習するリズムにしていたのですが、当日は本番が7:30からだったので、疲れないよう午後からの練習にして、休み休みウォームアップをしていきました。音棟の前でぼーっと座って日向ぼっこをしながら録音を聴いたり。 リサイタルのポスターやプログラム、プログラムノートを作ったのは自分自身でしたが、それを色んな所に貼ったり印刷してもらったりと、先生や先生の奧さんに協力いただきました。

本番は緊張もありましたが、この1年の成果と感謝の気持ちを伝えようと、よく集中して心を込めて、そして楽しんで演奏する事が出来ました! 色々と忙しい中でのリサイタルだったのでどこまで出来るか私自身もわからなかったのですが、この日は頭と心と体と耳が一体となって、良い状態で演奏する事が出来てとても嬉しかったです。 演奏しながらアメリカに来てからの日々を思い出していました。この1年で経験した事や、その時の感情など…。

聴きに来てくれた方々や1年間お世話になった先生方が喜んでくれて本当に嬉しかったですし、無事演奏会を終える事が出来てほっとしました。曲が終わって最後、先生にBravoを頂いた瞬間、ほっとして顔がゆるんだのが心に残っています。(最後の最後でやっと満面の笑みが見れたと先生方に言われました笑)

このリサイタルのプログラムを決める際、プロコフィエフのソナタに挑戦したいと言って練習をしていたのですが、すぐに先生からプロコフィエフよりもヒナステラのピアノソナタが私に合っているのでは。とメールを頂き、すぐに取り掛かる事になりました。ヒナステラはそれまでアルゼンチン舞曲を聴く事が多かったのですが、今回は日本ではあまり聴かないピアノソナタ。まさか私が挑戦するとは思っていなかったので、提案された時はびっくりしつつも嬉しかったです。 アルゼンチン、南米の作品。先生のレッスンではスペイン語のアクセントと音楽との結びつきや、リズムのビートをどう表現するかを教えていただきました。

音楽と言葉の結びつきは、留学して初めて先生に演奏を聴いてもらった時から言われていた事です。日本人は特に、日本語にはアクセントが無く平坦な発音になるため、演奏もそうなってしまっている、と。音楽を言葉のように聞かせるためにはどうすれば良いのか。考えた事はありましたが、ずっと手がかりを掴めませんでした。でもそれはとても簡単な事だったのです。英語を話す生活に身を置くようになって、少しずつですが音の聞こえ方が変わっていくのを感じました。 日本人は感情表現が乏しいとはよく言いますが、確かに周りのアメリカ人達を見ていると、いつも喜怒哀楽がはっきりしていて、その人の感情が言葉(イントネーション、テンション)にそのまま現れていました。言葉はとても大切なんだなと、今まではそこまで意識する事はありませんでした。そう感じる中で段々コツを掴んでいったように思います。 先生には私1人ではたどり着けない沢山のアイデアをいただきました。大学院を卒業して留学するまではレッスンの無い日々を過ごしていたので、私にとって毎週のレッスンがとても貴重で、1番大切にしたい時間でした。なのでレッスンでは毎回暗譜で、毎週2、3曲新しい曲を持って行っていきました。沢山曲を持っていっていたので毎回のレッスンが駆け足で、先生の頭の回転の速さとパワフルさに圧倒されるばかりでしたが、それがとても楽しかったです! そして前期は私のレッスンと同じ日にスタジオクラスがあったので、毎回新曲をみんなの前で弾かせてもらい、暗譜したばかりで毎回緊張してましたが、そのおかげで少し度胸がついたように思います。 スタジオクラスでは弾きたい人が暗譜で演奏するスタイルで、いつも色んな人の演奏が聴けてとても勉強になり、またその都度色んな人からアドバイスが貰えて、私のとても好きな時間でした。 アメリカでの日々を思い返すと、篭って練習してばかり。そう思われがちでしたが(それが私のやりたかった事でもありました)、それでも私にとってはかけがえのない日々でした。 アメリカに行く前、そしてもっと前のまだ留学の目処が立たない時期、「1年で何が出来るのか」「そんな短い期間留学してどうするのか」と言われた事がありました。その時は私の覚悟もまだ無かったし、この留学が成功するかは私にもわかりませんでした。 でも帰国して小さい頃から私を見てくださっている先生に演奏を聴いてもらった時、「1年で別人のようになった。留学して良かったね」と心から喜んでくださって、諦めずに頑張って良かったと本当に嬉しい気持ちになりました。そしてもっと成長出来るように、これからも精進しようと思いました。 リサイタルの演奏を聴くとまだまだ荒いですが、私の1つの目標を最後に形にする事ができて、この演奏は私の留学での宝物となりました。

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